作品概要
《スタンパの居間に立つディエゴ》は、画家のアルベルト・ジャコメッティによって制作された作品。制作年は1922年から1922年で、ジャコメッティ財団に所蔵されている。

《スタンパの居間に立つディエゴ》は、アルベルト・ジャコメッティの故郷の家において、弟ディエゴを描いた人物画である。
モデルは弟ディエゴ
アルベルト・ジャコメッティは、1歳違いの弟で、助手でもあったディエゴを幾度となくモデルに起用した。しかしながら、立ち姿を選んだのはジャコメッティにとって異例だった。同じポーズをとっている時間の長さを考慮して、ほとんど座った姿を描いていたからだ。
背景から本作の描かれた場所がスタンパの居間であることがわかる。同時期のドローイングや写真からの同じ家具や調度品が使われていることからも明らかだ。
本作が完成した正確な日付は定かではないが、画面右端に「アルベルト・ジャコメッティ、1922年11月11日」とある(ただし、後づけされている)。1922年の11月11日は、1902年の11月15日に生まれたディエゴにとって、20回目の誕生日を迎える直前だった。(だが、ディエゴに絵を贈ることはなく、画家の手元に置かれていた)
画家お気に入りの1枚
ディエゴは、首回りに白いネッカチーフを巻いたタウン・スーツをまとった上品な装いをしている。しっかり引かれた描線と暖かく鮮やかな色づかいは、1920年までに制作された絵画と比べると、明らかに異なる。転機となった出来事は2つ。1921年のイタリア旅行と1922年のパリに初めて滞在したことだ。
1926年の9月10日付のアルベルトの手紙にも本作について言及している。手紙のなかで、アルベルトは《スタンパの居間に立つディエゴ》を実に気に入っていると記述している。1965年アメリカで開催された巡回展(ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコ)でも画家自身が本作を展示の1点に選んだことからもわかる。
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