作品概要
《ロバート・セインズベリー卿の胸像》は、画家のアルベルト・ジャコメッティによって制作された作品。制作年は1958年から1958年で、ジャコメッティ財団に所蔵されている。

《ロバート・セインズベリー卿の胸像》は、スイス出身の20世紀の彫刻家であり、画家でもあるアルベルト・ジャコメッティ(1901-1966)が1958年に制作した肖像画である。ジャコメッティの生存中には一般公開されなかった。
モデル、セインズベリー
ロバート・セインズベリー(1906-2000)は、スーパーマーケット〝セインズベリーズ〟の創業者、ジョン・ベンジャミン・セインズベリーの長男である。1930年代から芸術作品の熱心なコレクターになった。中国、アフリカ、ポリネシアの彫刻の膨大なコレクションの次に、エプスタイン、ムーア、ベーコンなどの同代の芸術家たちの作品も収集していた。
ジャコメッティの作品を購入するようになったのは1949年のことだ。ピア・ローブのパリにあるギャラリーに妻のリサと出かけた際、ジャコメッティと出会ったのがきっかけだった。
2枚の肖像画
ジャコメッティは、セインズベリーの妻や子どもも描いたが、セインズベリー自身も肖像画にした。本作がその1枚だ。絵筆に黒い絵の具をのせ、顔と胸部を最初に表現している。顔周辺を濃い配色で印象づけ、薄いグレーでジャケットと背景を描き出している。
画面の大部分を空白が占め、中央の頭部に注目がいくようにしている。頭の形、縁の太い眼鏡、禿頭といったモデルの身体的な特徴をよく捉えている。
本作に日付の記載はないが、同じ座ったポーズで本作と類似した作品が1958年と記されている。2枚の肖像画のなかで、セインズベリーは腕組みをしているが、距離感が違う。本作のほうがより近くから描いている。
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