作品概要
《バラを持つ女性》は、画家のジョン・シンガー・サージェントによって制作された作品。制作年は1882年から1882年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

モデル
この肖像画のモデルとなったのは、スイス人の商人と彼のアメリカ人の妻の間に生まれた20歳の娘、シャーロット・ルイーズ・ブルクハルトだ。作者が所属していた世界主義仲間のメンバーという繋がりで縁があり、サージェントがパリに住んでいた頃の作品モデルとして、家族も含めて度々登場している。
サージェントは彼女と1880年代の初め頃は恋愛関係であったとされ、婚約の話も出ていたようだ。しかし、1883年の夏までには結婚の話は自然消滅してしまったようで、彼女は1889年に別の男性と結婚するが、間もなく病気にかかってしまい、わずか30歳でこの世を去った。
構成と評価
モノクロをメインとした色調、浅い空間、そしてモデルのシルエットを強調した表現は、スペイン人画家のディエゴ・ベラスケスの作品への敬意に通ずる。サージェントは師匠であるカロリュス・デュランにベラスケスの作品を研究するように言われていたそうだ。
黒いドレスをまとった姿はとても印象的でドラマチックだ。白いバラを鑑賞者に向け、少し活気のない表情をしている様子との対比のように見える。まるで完全と不完全の境界線を完璧にまたがっているようで、非常に洗練された画だ。まさにシンプルさの中にある美しさと言える。
サージェントは1882年のサロン・ド・パリに出展し、大きな喝采を浴びた。小説家のヘンリー・ジェイムズは「少し異常な才能のスペクタクルであり、キャリアのほんの入り口の段階から、これ以上学ぶことなどないと言った感じだ。」と評した。
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