作品概要
《暗い風景(スタンパ)》は、画家のアルベルト・ジャコメッティによって制作された作品。制作年は1952年から1952年で、ジャコメッティ財団に所蔵されている。

《暗い風景(スタンパ)》は、スイス出身の20世紀の彫刻家であり、画家でもあるアルベルト・ジャコメッティ(1901-1966)が1952年に制作した油彩画である。本作は画家の生存時、1965年にイギリスのロンドンと、デンマークのハルムビークで開催された回顧展で展示された。《暗い景色》というタイトルで制作年は1952年とされていた。
スタンパのアトリエ
ジャコメッティは、スタンパのアトリエからの景色を繰り返し描いた。1952年に描かれたうち、少なくとも6作品は、同一テーマ、同一スタイル、同一トーンになっている。明るさはそれぞれ違ったが、いつも同じ暗いトーンだった。明るさや色よりもイメージからくる構図に注意を払っていた。
「アトリエのドアから見た眺めが眼下にこびりついてはなれない。窓やドアから見える景色の先の風景を見ることができないのだ」と1952年に述べている。画家は、アトリエのガラスのドアから見た眺めをそのまま描いている。カンバスにもドアの枠が太い黒い描線で示されている。
グレー1色
色が単色になっていることをジャコメッティは、構造と色彩を同時に考えるのは不可能だからだ、と語っている。だが、「キャンバスにグレーの絵の具をのせてからが、本物の絵描きといえよう」というセザンヌのことばが脳裏にあったにちがいない。
また、1958年には、美術史家のゴッタルド・ジェドリッカに「すべてがグレーに見えていて、それを表現したいのに、なぜグレー以外の色を使う必要があるのか」と語っている。
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