作品概要
《アトリエに座るアネット》は、画家のアルベルト・ジャコメッティによって制作された作品。制作年は1960年から1960年で、ジャコメッティ財団に所蔵されている。

1943年、アネット・アームはスイスのジュネーヴでジャコメッティと出会い、ふたりは1949年に結婚した。パリのイポリット・メンドロン通りに住んでいたジャコメッティと暮らすようになり、生涯添い遂げた。
妻、アネット
アネットはアルベルトのお気に入りのモデルのひとりだった。彫刻、絵画とドローイング――人物画からヌード、スケッチまで――の膨大な量は、弟ディエゴをモデルにした作品の数と匹敵する。
《アトリエに座るアネット》の特徴を述べるのは難しい。腹部の位置や形は他のアネットを描いた絵画と変わらない。だが。モデルの特徴を表す顔には、いかようにもとらえられる表情が浮かんでいる。ヘアスタイルは1950年代にアネットがしていたものではない。
複数のモデルのイメージを融合
1950年代から1960年代のあいだにディエゴをモデルにして制作した肖像画に見られるように、複数のモデルが融合しあったような、肖像画の域を超えた普遍のイメージを形成している。
ジャコメッティが本作に精力的に取り組んでいることは明らかだ。頭の形や顔の輪郭を何回も描き直した跡が見られる。頭部に引かれた太い描線を強調して、以前に描いた線を隠している。1960年からは写真を導入したことで、アトリエの作品の進行状態がわかるようになったが、本作はモデルの配し方や絵の保護処理から1955年頃のドローイングと共通している。
ジャコメッティは記憶やキャロラインのような他のモデルの特徴から要素を結合させて作品に反映させている。ジャコメッティ自身による署名や制作年の記載はなく、画家の生存時には一般公開されることはなかった。
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