作品概要
《ロイド家の女性の肖像》は、画家のトマス・ゲインズバラによって制作された作品。制作年は1750?年で、キンベル美術館に所蔵されている。

制作の背景
同時代の画家ジョシュア・レノルズと並び、ゲインズバラはイギリスにおける肖像画の魅力的な「黄金時代」をリードする人物の1人であった。この絵画は初期の作品で、ゲインズバラがフランスの彫刻家ユベール・フランソワ・グラヴロのもとで修業したロンドンから、出生地であるサフォークに戻った直後に描かれている。モデルは、イプスウィッチのロイド家の一員であるとみなされている。
絵画の様式
ゲインズバラ初期の、装飾的彫像のある公園を描いた小規模な風景画は、彼の師匠フランシス・ヘイマンの影響を示し、最終的にジャン=アントワーヌ・ヴァトーの「フェート・ギャラント(雅な宴)」様式の例を示している。彼の初期の女性モデルの多くの硬い姿勢とは対照的に、ここでゲインズバラは、ヘイマンが好んだ脚を組むポーズを採用している。一連の予備的スケッチにおいて、彼は人物を戸外に設定して取り組んでいる。
描写
右の二本の木は、彼女の組まれた脚をまねており、彼女の青いシルクドレスにはサイドフープがあり、ファッショナブルなへりに囲まれた麦わら帽子が目を引く。前景にある正確に描かれたゴボウの葉は、オランダの風景画から得、さらに実物を見て描いたモチーフであったが、背景の羽毛のような筆遣いと冷たい色調は、フランスの絵画の影響を反映している。この初期の肖像画の魅力と動じない優美さは、ゲインズバラの流れるような筆運びと光の輝かしい効果の恩恵によるものである。
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