作品概要
《自画像》は、画家のアルベルト・ジャコメッティによって制作された作品。制作年は1917年から1917年で、ジャコメッティ財団に所蔵されている。

《自画像》は、スイス出身の20世紀の彫刻家であり、画家でもあるアルベルト・ジャコメッティ(1901-1966)が1917年頃に制作した油彩画である。ジャコメッティは彫刻家として名が知られているが、絵画作品も多い。
画家である父親の表現を想起
画家としての生涯を通して、ジャコメッティは絵画とくに自画像を描きつづけた。若い頃の作品は新印象派の技法を想起させる。その技法は、父親であり、スイス印象派の画家であるジョヴァンニ・ジャコメッティが、1888年から1891年にパリで点描法を研究したときに学んだものだろう。
顔にのせられたイエロー、ピンク、グリーンの明るい色は、ジョヴァンニによる肖像画と似ている。また同じスイスの画家、クーノ・アミエ(アルベルトのスポンサーでもある)とフェルディナント・ホドラー(弟ブルーノ。ジャコメッティのスポンサー)の表現とも共通する部分がある。
他を圧倒するような激しい視線
中央にはモチーフである人物が画面いっぱいに描かれている。背景はできるだけ目立たない色で統一し、対象を際立たせるためだけの配色になっている。背景の余白部分にも、さまざまな重要性を持たせる効果があることを画家自身がまだ認識していない。こちらを見ているモデルの揺るぎない視線からは、鑑賞者やアルベルトのモデルを圧倒するくらい激しいものが伝わってくる。
ボール紙に油彩された本作は、大望をいだいた若きアルベルト・ジャコメッティを描いた1枚だ。本作は画家の生存期間中には一般公開されなかった。
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