作品概要
《羽をむしられた鶏》は、画家のシャイム・スーティンによって制作された作品。制作年は1925年から1925年で、オランジェリー美術館に所蔵されている。

動物を被写体にしたシリーズ
本作《羽をむしられた鶏》は、家禽やうさぎのシリーズに属しており、牛の屠殺肉のシリーズと同時期に描かれた作品である。
スーティンは、同じ被写体を異なる構図で何度も描くことを好んだ。これらのシリーズはシャイム・スーティンの典型的な作品である。本作《羽をむしられた鶏》では、鶏が机の横に首から吊り下げられている。
背景と鶏の色味のコントラスト
背景はすべての要素が青と灰色の色味の範囲内で描かれているのに対し、鶏の体では色が破裂したかように激しく色付けされている。鶏の首は完全に引き抜かれている。
動物の死体に魅了されたスーティン
エリー・フォール(1873-1937)は、1929年に出版されたスーティンについての評論の中で、「スーティンは、死んだ動物に官能的な喜びを見出していたのだ…彼は、死んだ鶏のくちばしを開き、首で吊り下げていた。」首を引き抜かれたり、羽をむりられたりした家禽にスーティンが魅了されたのは、彼の幼少期のトラウマ的な思い出に起因しているのだろう。
*トラウマ的な思い出とは、子ども時代に肉屋があひるの首を切って血を抜き取っているのを見たときの経験に起因するが、その情景を見たとき、スーティンは一度は叫びだしたくなるような気持ちになるが、最終的にはおいしそうな肉だと思ってしまったという。その後牛の屠殺肉などを描く際などにも、この記憶がよみがえり叫びだしそうになったと後に語っている。
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