作品概要
《灰色の木》は、画家のピエト・モンドリアンによって制作された作品。制作年は1912年で、デン・ハーグ市美術館に所蔵されている。

昇華の起点
《灰色の木》はモンドリアンが最終的に作り上げた、コンポジションを中心とする抽象画の起点となるおおきな意味をもつ作品である。
そして今までは対象を写実的な絵画を中心的に描いてきたモンドリアンがキュービズムの影響を受けはじめている印象を強く受ける作品である。
彼が活動の拠点をパリに移したことも影響し、本作を機にモンドリアンの作品の抽象化が加速する。そして彩色される色についても数は少なくなり、より原色に近づいていくようになる。この頃の作品からモンドリアンの無形の絵画、黒と白の原色が織りなす絵画は彼が言うところの”力学的平衡”を伝え、個人の精神に働きかけて、より広い社会的な影響を与えたいと願っていた彼の心理を表すようになる。
作品概要
この木は、パブロ·ピカソとジョージズ·ブラクなどのキュービストの作品にみられる、やや楕円形の形をしている。モンドリアンの楕円形は、その後3、4年かけて描かれた絵画の中で、より研ぎ澄まされた形となり作品を作り上げた。”アップルツリー”の輪郭はグレイツリーを思い起こさせるが、本作ははるかにファセットがより抽象的である。そして極端に単純化した線構成で生い茂ったリンゴの木と灰色の大気を表現した。
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