作品概要
《受胎告知》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1930年から1930年で、個人蔵に所蔵されている。

1927年から〜1930年までパリにいたマグリットはフランスのシュールレアリズムの影響を大きく受ける。1930年に描かれた『受胎告知』であるがユニークなモチーフが使われている。
まず二本の西洋けん玉、これを彼は木に見立てて描いている。その脇には白い切り抜きのパターンのある紙が、鈴が付いたグレーのメタルのカーテンに立てかけてある。これらは一見不調和なようにみえて、青い空に浮かぶグレーの雲や物体の色調のためか落ち着いた静けさを醸し出している。所々に巨匠、ダ・ヴィンチ、グレコやカラヴァッジョを思わせるスタイルがさりげなく感じられる。
もちろんタイトルからダヴィンチの『受胎告知』を想像させるが無関係のようだ。マグリットはこの作品を非宗教的な意味で描いていると述べている。シュールレアリズムのアーチストにとって宗教の話題やテーマはタブーとさえ言われていた。とは言え、ダヴィンチが持つ宗教性のようなものがこの作品にはふさわしいような気がする。
この作品の持つ静かで穏やかな時間がまるでこれから何かが起こり得る、もしくは起こっているような想像をさせる。マグリットはメセンズへの書簡の中で『中央の物体のグループは出現を予言』すると述べている。
そしてこの作品のサイズだが、114x146cmという彼の作品としては大きなサイズだ。マグリットの友人で支持者だったデイヴィッド・シルベスターはマグリットの代表的な作品の中でも『受胎告知』から感じる『その威厳、厳粛さ、輝きと静寂さに感動を覚えた』と書いている。
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