作品概要
《侍者》は、画家のシャイム・スーティンによって制作された作品。制作年は1927年から1928年で、オランジェリー美術館に所蔵されている。

侍者のシリーズ
1925年から1930年の間に、スーティンは侍者(特にカトリック教会と聖公会でミサの時、司祭に付き添う奉仕者のこと)をシリーズで描いている。それは時に椅子に座っているものもあれば、立っている姿で全身を描いたものもあった。
このシリーズは、皮をはいだ牛のシリーズと同時期に描かれ、ここで再びスーティンが赤という色に魅了されいてたことが認識できる。
クールベ作品の影響
彼はたびたびルーブルを訪れ、ギュスターヴ・クールベ(1819-1877)、レンブラント(1606-1669)、そしてジャン=バティスト・カミーユ・コロー(1796-1875)などの絵を特に賞賛していた。
その中でも、クールベの《オルナンの埋葬》には赤いローブと白いサープリスを身に着けた侍者の行列が描かれており、スーティンはその姿を見て侍者に興味を持ったとも言われている。そのクールベの作品で、スーティンは2つの色に魅了されるのである。それは、深紅と白である。
色づかいのこだわり
本作では、モデルが描かれている半身のうちの4分の3が衣装で、青と黒の背景がその衣装の色を協調するフレームの役割をしている。広く厚い筆づかいは、クールベの技法を彷彿とさせる。その一方で、白いサープリスを引き立たせるのは、黄色、緑、青、赤の原色を使った、神経質な筆づかいであり、これは典型的なスーティンの技法である。
*ローブとは、聖職者の法衣のことで、主に上下が一続きになっており、袖のついているワンピース形式のゆったりとした上着である。
*サープリスとは、教会の聖歌隊員や聖職者が着る広袖のゆったりした上着のことである。
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