作品概要
《透視》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1936年から1936年で、油彩に所蔵されている。

この作品の中にはマグリット自身が画家として描かれている。彼が絵の中でキャンバスに向かって鳥が羽ばたいている絵を描いている。机の上には一つの卵が置かれて居る。タイトルに透視とあるように、彼は卵を見てそのポテンシャルや未来を想像し鳥の絵を描いている。
まるで彼は透視者でアートにより将来を描いていると宣伝しているようなタイトルだ。
彼はキャンバスの中に自分自身を描くことにより見る人との対話を可能にしたという。ある人はそれを傲慢と表現しているが、とても大胆な作品である。
この作品をよく見てみると、まず卵とそれが乗っかっているテーブルがなんとも不安定である。この絵の通りで行くと卵は転がって床に落ちてしまう。またキャンバスも宙に浮いていて手前に傾いている。一つ一つを観察してみるととても落ち着きのないモチーフだ。しかしその危うさを見逃してしまいそうになるのは絵の中の画家があまりにも落ち着き払って真剣な眼差しで卵を見つめているから? 画家と卵と鳥という点においてはバランスが取れていて違和感を一瞬忘れてしまいそうなほどインパクトが感じられる作品だ。
この作品はある日の不思議な出来事から生まれたという。ある夜、鳥の入っている鳥かごがある部屋で目覚めたマグリットは、鳥かごの中に消え失せた鳥の代わりに白い小さな卵を見つけたという誤認をする。『驚くべき詩の新たな秘密を手にした』と1936年にマグリットは語っている。
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