作品概要
《ぶどうの収穫月》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1959年から1959年で、個人蔵に所蔵されている。

この作品の中にもマグリットが好んで描く山高帽の男が出てくる。鑑賞者は暗い部屋の中にいて窓が内側を向いて開け放してある。そこに見えるのは山高帽の男の無表情な集団。誰もが同じようでいったいそこには何人いるのか、奥の方まで重なって描かれている。想像するだけでぞっとするほどの人数かもしれない。そして部屋の中はまるで空っぽで家具一つさえ描かれていない。
この名もない山高帽の男たちの集団はある種の侵略を意味するようだ。彼らの描写には攻撃的要素は全く見当たらないがだれもが同じようであるところが不気味な恐怖感を醸し出している。そしてそれを隠してしまう窓と扉がそこには存在するが、その行為はヴィジュアルだけ遮断するが存在まで消し去ることは不可能だと言っている。それはただのイリュージョンに過ぎず、山高帽の男たちが侵略してくるのを止めることはできないのだ。
このような対立は現在世界のどこにでも大なり小なり起きていることで、窓を閉めてもそれは解決されないとマグリットは表現しているようだ。時間の流れの中であなたがそこに存在しようとしまいと、それを見ようと見まいと山高帽の男たちは窓の外にじっと存在している。この絵は見るものに疎外感、不安、意思疎通の欠如を呼び起こす。そのためか、マグリットのこの作品は保険会社の広告に使用されることが多いという。
どこにでもある、しかしそのアンバランスさが確かに見る人を不安にさせる作品だ。
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