作品概要
《共同発明》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1934年から1935年で、油彩に所蔵されている。

『共同発明』はシュールレアリズムによく使われるデペイズマンという手法を用いている。これは、意外なものを組み合わせることにより受け手を驚かせ途方にくれさせるというものだがここではマグリットは『魚』と『女』を組み合わせたモチーフを描いている。
そう、人魚であるが我々が思っている上半身が女性、下半身が魚ではなく全く反対に上半身が魚で下半身が女性である。鑑賞者は一瞬びっくりし途方にくれる。マグリットはイメージと言葉をバッサリと分離することにより『人魚』という言葉に対して我々が持つデタラメなアイデアをイメージとしてつきつけて笑っているのだ。
通常の思考や観念から想起するイメージを思いっきり裏切ってくれる作品である。
人魚のパーツが反対になることにより我々が持っている人魚の美しい『イメージ』がこんなにも変わってしまうなんて全く笑うしかない。また、砂浜に打ち上げられた人魚はその美しさで男を海に誘うが、魚が上半身の人魚は砂浜ではなんとも寂しく場違いな印象しかない。
しかし視線を後ろの海に移してみると、マグリットは波がまるでこちらにまで押し寄せてくるような海、そして人魚の足首についた砂などを美しいリアリスティックに描写して我々を現実へと押し戻すように描いている。
この現実と非現実が一枚の作品に収まると鑑賞者はなんとも不思議で理解を超えた印象を受けてしまうのである。『共同発明』は空想でも思想でもない。 現実から発生する発明なのである。
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