作品概要
《自由への戸口で》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1929年から1929年で、油彩に所蔵されている。

『自由の戸口で』にみられるのは御影石のような堅固な床と天井を囲む8枚のパネル。それぞれには異なったモチーフが描かれて居る。空と白い雲、燃えさかる炎、木目、森、建物の一部で窓の部分、パターン、女性の裸体、鈴もしくは竹の節のようなモチーフでどれもが他の作品でもよく見かけるものである。どれもがシンプルに描かれているが色だけがそれぞれ違っている。枠はニュートラルなベージュ色を用いている。そして部屋の中右手(鑑賞者の)には一台の大砲が描かれていて、その経口は左方向を向いている。
黒い大砲だけが本物のように際立って存在感をアピールしている。なんの関連性も持たない8枚のモチーフであるがあくまでもミステリアスに大砲を引き立てている。またこの作品ではマグリットが他の作品でよく使っている光や影がみられない。とてもフラットに面白みのない平凡なモチーフを描いている。
その関連性の全く見られないモチーフのパターンは我々の脳では理解困難である。実際に意味は求められていない作品なのだ。ただ、モチーフとしては一つずつに意味をなさなくても部屋としての対称性や邪魔をしない色使い、バランス、その流れから鑑賞者は一瞬理解のできる部屋としてプロセスしようと思ってしまいそうだ。
しかしそこはマグリット、『画像の裏切り』をうまくみせてくれている。今回も見るものに混乱を与え平凡に存在している物体の本質を再確認せずにはいられないようにマグリットはこの作品を通して問いかけてきている。
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