作品概要
《夢への鍵》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1927年から1930年で、個人蔵に所蔵されている。

81cmx60cmのキャンバスを6つの区画に分けて丁寧に図鑑のように物体をそれぞれに描いている。そこには、卵、山高帽、コップ、婦人靴、燃えているろうそく、金槌。面白いのは下に明記してある名称が図とは異なっているということ。
例えば卵には『アカシア』、山高帽のには『雪』、コップには『嵐』、婦人靴には『月』、燃えているろうそくには『天井』、金槌には『砂漠』と書かれているのだ。しかし卵に『アカシア』とあるからそれが名称と理解する必要は全くない。画像に書き込まれた言葉はあくまでも言葉であって標題ではないのだ。
本当の標題は画像の外に存在するとマグリットは言いたいのかもしれない。それぞれが『画像の裏切り』であって否定なのだ。われわれが当たり前だと思っている画像と名称は実はイメージでは描けないのだ。見ることはできてもそれは「卵に見える絵」であって卵ではない。マグリットが我々に挑戦し問いかけているのは、「これは卵か?これを割って食べることができるのか?」
いや、では卵ではない絵を描けば良いのだろうか? しかし画像では否定を描くことが不可能だ。これは卵ではないという絵を描くことはできないのである。
マグリットはこの時代『画像の裏切り』と称して他にも『これはパイプではない』1929年、『テーブル、海、果物』1927年など類似した作品を残している。マグリットにとっては「絵画とは現実を正確に複製した写生ではない。」だから卵はあくまでもイメージでしかないのだ。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。