作品概要
《ガラスの鍵》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1959年から1959年で、油彩に所蔵されている。

1959年に発表された『ガラスの鍵』はマグリットが後期の作風に再び戻って行った作品である。石と化した世界や重力に反する浮遊の岩などがモチーフに使われるようになってきた。世の中の変化も作品に反映されているのであろう、イメージのスケールが拡大してきた。
高く険しい山々が描かれて居る中、山頂付近に巨大な岩石が浮かんでいる。落下しているのなら重力に従い不思議はないのだが、この絵の中では確かにこの岩は浮遊しているのである。また浮かんでいる岩石は巨大である。そのことからありえない光景なのでなんとも不安定な気分にさせられる絵なのである。
この作品についてマグリットは自身の書簡集の中で「私は『崇高な』絵画を見つけて描き上げた!」と記している。それほど彼が他の作品を中断してまで力をいれて取り組んでいた絵なのであろう。またこの作品については面白い点が一つあり、最終的なタイトルに至るまで10個以上の候補が書かれたり消されたりしているのが絵画の裏面にみられるそうである。別のタイトルの候補として『お守り』や『結婚生活』なども挙げられていたそうである。
マグリットは読書家であったといわれていて、彼の作品のタイトルは小説のタイトルから取られたものもたくさんあると言われている。この『ガラスの鍵』というのもダシエル・ハメットの小説のタイトルから取ったようである。しかし必ずしも小説の内容と彼の作品の意味するところが関連しているわけではない。『ガラスの鍵』はこの絵の中にどこもみられない。どこにも見られない『ガラスの鍵』によってこの謎を解けと言っているのであろうか?
ピレネの城と近い作風ですが、制作するうえでの共通しているところは、どこですか?
2019年12月2日 11:31 pm, ID 14628