作品概要
《刺し貫かれた時間》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1939年から1939年で、シカゴ美術研究所に所蔵されている。

マグリットの後援者の一人であるエドワード・ジェームズのロンドンにあるダンスルームのために描かれた一枚である。暖炉の中から飛び出してくるのはブラックファイブと呼ばれる有名なモデル、ロンドン・ミッドランド・アンド・スコティッシュ鉄道の機関車である。(機関車トーマスではヘンリーがこのモデル)
その機関車が暖炉からフルスピードで空っぽの部屋に飛び込んでくる。暖炉の上に飾られた鏡には二本のろうそく立てと時計のみが映っていて他には家具も人も何もみえない。ちなみに向かって右側のろうそく立ては鏡に映っていない。
『短刀で突き抜かれた流れる時間』というのがオリジナルのフランス語のタイトルであったようだがマグリットは翻訳されたタイトルに関して不服をもらしていたそうだ。そしてジェームズの家の階段下にその作品を展示してほしいと望んでいたそうだ。そうすればダンスルームへ上がっていくゲストに機関車が貫いていく感覚を与える事ができると思ったらしい。
残念ながらジェームズはこの作品を平凡にもこの絵と同じに自宅の客間の暖炉の上に飾っていたらしい。時間と場所を超えて貫いてくる機関車と空っぽの部屋の作品は絵の前に立つ者をも通過していくそんな感覚をあたえてくれそうだ。しかしこのタイトル『刺し貫かれた時間』は実際にはキャンバス上にイメージを描いているわけではなく刺し貫く物体、蒸気機関車は描かれてはいるが時間と距離の感覚が現実離れしていて不思議な感覚を見るものに与える。
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