作品概要
《水面に象を映す白鳥》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1937年から1937年で、個人蔵に所蔵されている。

この絵画作品は、ダリが偏執狂的批判的になった時期以降のものである。油絵の具を使ってキャンバスに描かれたもので、ダリの有名なダブルイメージの1つが入れられている。
ダブルイメージとは、1935年、ダリ著の評論「非合理なものの征服」のなかで提言された「偏執的批判的方法」の主要な部分であった。「非合理なものを無意識的に理解する方法は、狂乱的な現象の連想を説明的に批判することを土台にした」というように、ダリは自身の方法を説明した。
ダリは、1930年代中の自身の絵画作品に占めたダブルイメージと視覚的錯覚といった、幻覚的な形を生み出すべく、この方法を用いた。ナルシスの変貌の初期と同様に、作品の中で見られるダブルイメージを創り出すため、水面に象を映す白鳥には、湖に反射が用いられているのだ。
ちなみに、ナルシスの変貌においては、絵の右側に手の形を映すためにナルシスの姿を用いている。さて、吹きさらし状態の枯れ木の前にいる3羽の白鳥は、その首が象の鼻になり、枯れ木が象の脚になるよう湖に映し出されている。
背景に描かれているのは、水の静けさと対照をなすように、火のごとく赤い滝の色合いと湖を囲む岸壁に渦を創り出すような筆づかいで描写された、カタロニア地方の風景である。
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