作品概要
《快楽の園》は、画家のヒエロニムス・ボスによって制作された作品。制作年は1490?年から1510?年で、プラド美術館に所蔵されている。

《快楽の園》は、ボスの作品中でも、独創性に富んだ最も大がかりな作品で最高傑作との呼び声も高い。ブリュッセルにあるナッサウ家のエンゲルベルト2世がパトロンについていたが、創作の起源は定かでない。三連祭壇画(3枚のパネルからなる祭壇画)の形式で描かれている。
聖書に想を得た3つの場面
内側のパネルは、聖書に想を得た3つの場面が登場する。三連祭壇画の構成は《干し車》と似ている。左翼パネルにエデンの園、右翼パネルに地獄を配している。
左翼パネルは、エデンの園を表している。キリストがあいだに立ち、アダムとイブを結びつけ、婚礼の儀のような雰囲気だ。湖のまわりには動物や想像上の生き物、木々が描かれている。
中央パネルには、地平線を高くとった俯瞰的な構図だ。楽園から追放され、個人の喜びに耽る裸の男女が描かれている。手前の池では巨大な水鳥が群れている。巨大なフクロウもいる。原罪の場面は、中央パネルの右端で赤い果実をとる男たちによって暗示されている。
右パネルは最後の審判を表している。暗闇が広がり、混沌に満ちている。快楽をもたらすはずの楽器が悲惨な拷問の道具として用いられている。右下では愚者の象徴であるロバに抱えられた女が、愚かな自分の姿を、鏡になった悪魔の尻に映し出している。画面中央にはボス自身の肖像ではないかとの説もある男の姿がある。
外翼パネル
外翼パネルには、地球を思わせる球体がグリサイユ(灰色だけで薄肉彫りに似せて描く装飾画法)で描かれ、天地創造の場面を表している。
左上隅には創造主(キリスト)が姿を見せ、その横には「主が仰せになると、そのようになり、命じられると、堅く立ったからである(詩編33:9)」と銘文が記されている。
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