作品概要
《祝福された者の上昇》は、画家のヒエロニムス・ボスによって制作された作品。制作年は1500年から1504年で、ドゥカーレ宮殿に所蔵されている。

《祝福された者の上昇》は、《来世の幻想》の4連のうちの1連である。他は、《地上の楽園》、《地獄》、《呪われた者の対墜落》である。
トンネルを抜けると天国
本作の最も興味をかき立てる要素は、パネル上部に描かれた巨大なトンネル部分だ。ボス独自の発想である。この円筒形の光の通路を通って天国に向かうのだろう。
天国の白い光が見え、その先には、植福された者たちを待っている姿が描かれている。トンネルの近くには、天国の門に人間を運ぶ天使の姿がある。鑑賞者は着衣によって二人を区別できる。天使は白いローブをまとい、もういっぽうの人間は裸だ。どちらも祈りのポーズをとっている。
天使と人間
下部は、光に包まれた祝福者たちが天使たちの導きにより、縮小しながら天空へと上昇している。天使が2人付いている時は、人間によってはより多くの助けが必要なことをほのめかしている。
上空へ近づくにつれて、1人の人間につく天使は1人になる。人間は重力によって引っ張られるが、トンネルのほうへ上昇するにつれて軽くなることを象徴しているのかもしれない。天使は人間を抱え、目的地まで案内している。すべての人物が、トンネルに向かって顔を上げている。
人間も天使も同じような形態で理想化されているため、特定化は難しい。不特定の人物を想定したのだろう。天使はウェーブした長い髪で、人間はショートヘアだ。男性器も女性器も描かれず、性別がはっきりしない。これは天国では性別がないことを表している。天使のローブも羽根も赤、青、緑というように様々な色に塗られている。
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