作品概要
《快楽と大食いの寓意》は、画家のヒエロニムス・ボスによって制作された作品。制作年は1490年から1500年で、イェール大学美術館に所蔵されている。

《快楽と大食いの寓意》は、後期ゴシックを代表する画家ヒエロニムス・ボス(1450-1516)が1501年から1515年にかけて制作された油彩画である。ボスは1490年から1500年にかけて暴飲暴食の寓意をテーマに描いた。寄進者は教区の司祭だと考えられている。
図像解説
大食は7つの大罪の1つである。画面左上には、太った男が湖か池のような場所でワインのはいった酒樽の上に乗っている。木の枝を持ち、ラッパを吹く姿は大食いを端的に示している。樽の前にいるひとりの男は樽から酒を注いでいる。後ろに寄り集まった男たちは、樽を力いっぱい押している。すぐ下には、ミート・パイをのせた皿をのせて男が泳いでいる。男の衣類が岸辺に点々と置かれている。
快楽を示すモチーフは、テントのなかで酒を酌み交わす男女だ。酔っ払い、淫らな行為におよぼうとしているのだろう。ボスの机画『七つの大罪』のなかにもみられる光景だ。また、共和制ローマの劇作家、ティレンティウスの戯曲の一節、「ケレンとバッコスがいないと、ヴィナースは凍えてしまう(パンとワインがなければ、その愛も醒めてしまう)」から引用されているともいわれている。
三連祭壇画の一部
最新の科学的分析で、《快楽と大食いの寓意》、《愚者の船》、《カナの婚宴》、《守銭奴の死》がもともと同じ祭壇画を構成していたという事実が明らかになっている。中央パネルだったと思われる《カナの婚礼》は現存していない。
《快楽と大食いの寓意》は開扉時左下のパネルと考えられている。右パネルの《守銭奴の死》で貪欲を非難しているように、大食についても同様にボスは糾弾している。
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