作品概要
《残る者(連作魂の状態より)》は、画家のウンベルト・ボッチョーニによって制作された作品。制作年は1911年から1911年で、アメリカに所蔵されている。

《残る者》はウンベルト・ボッチョーニによって1911年に制作された油彩画で、この作品は他の《別れ》、《去る者》とともに連作〈魂の状態〉全3点を形成する。この作品は現在ニューヨーク近代美術館に所蔵されている。
未来派
ボッチョーニはイタリア未来派の画家として知られている。未来派は、ピカソやブラックによってフランスで展開されたキュビスムなどの手法を踏まえつつ、それに加えて動きの表現や時間の推移、近代の機械文明といった要素を取り入れようと試みた芸術運動である。ボッチョーニは未来派の設立メンバーの一人であり、詩人マリネッティの『未来派宣言』(1909年)に続き、自らより実践的な『未来派画家宣言』(1910年)を出版した。
彼はその作品の中で、近代機械文明の称揚、過去の芸術の破壊といった未来派の理念を実践した。連作「魂の状態」は『未来派画家宣言』の翌年に発表された油彩画で、美術史家ピーター・ハンフリーはこれを「20世紀初期の知られざる名作」と評している。
作品
ボッチョーニは色彩や線に象徴的な意味をもたせて描いた。ここでは、同じ連作の《別れ》、や《去る者》に対し、色彩は濃い緑の濃淡でほぼ統一されており、垂直な線が画面の大半を占める。これは「去る者」を送って自らはその場に「残る者」の動きのなさを示している。
緑という色や、垂直な線がわずかに最下部で湾曲しているさまは植物を思わせ、その場に根を下ろして動かない人々を象徴的に表しているのである。
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