作品概要
《エウロパの誘拐》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって制作された作品。制作年は1632年から1632年で、ジャン・ポール・ゲティ美術館に所蔵されている。

『エウロパの誘拐』は、レンブラントの作品では珍しい、神話に主題を求めた絵画の一つであり、現在はアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスのジャン・ポール・ゲティ美術館が所蔵している。古代ローマの詩人オウイディウスがその主著『変身物語』の中で語る、ゼウスがエウロパを誘惑する箇所にレンブラントが着想を得て描かれたものである。
エウロパの友人たちが岸で恐怖におののく中、牡牛の背に乗ったエウロパが荒れる水面に分け入り連れ去られる場面が描かれる。レンブラントは、この寓話的な作品を描くために、パトロンの興味関心と自らの古典文学への造詣とを結実させたのであった。バロック絵画盛期の様式に則って自らの時代の思想と情景描写とを綯交ぜにした彼の手法は、この絵画における両面的な強みとなっている。
エウロパが誘拐される場面には、レンブラントの往時の文化を反映した再解釈が為されている。レンブラントはアムステルダムでの青年時代にこうした古典的な題材について関心を抱いていた。1631年に彼はアムステルダムに移転するが、それは彼がこの商業の中心地で大きな成功を収めたためである。当時、バロック絵画は国際的な最盛期を迎えていた。レンブラントは人生の中で僅か数作品しか神話を題材にした絵画を残さなかったが、そのすべてをキリスト教的・伝統的道徳に基づく寓話として仕上げた。
オランダ東インド会社所属の商人ジャック・スペックスの後援を得て完成したこの絵画の寓意は、レンブラントが愛読したと思われるベルギー人芸術史家カレル・ファン・マンダーの著作に帰するところが大である。
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