作品概要
《乱れ髪の自画像》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって制作された作品。制作年は1628年から1628年で、アムステルダム国立美術館に所蔵されている。

レンブラントによって描かれた自画像の中でも比較的初期に作成されたものである。
1620年代以降、イタリアから発してスペインの画壇に影響を与えたテネブリズムは、光と闇の強烈なコントラストを用い、暗闇から人物を浮かび上がらせるような色彩、すなわち陰影法と呼ばれる技巧を多用した。この技法はスペインからバロック期のフランドル画壇に伝播し、ルーベンスらの絵画に影響を与え、地理的に隣接するネーデルラントの画家たちにも多大な影響を与える事になる。これらはユトレヒト・カラヴァッジョ主義を経てキアロスクーロと呼ばれるが、この後塵にありながら独自の研鑽を積んだのが若き頃のレンブラントであった。
レンブラントはまだ経験の浅い画家という立場にありながら、実験的な手法を用いることに躊躇しなかった。実際にこの肖像画を見ると、光が当たる部分となった右頬は明るい色彩で塗られ、一方で残りの部分は影に覆われた表現の色調で彩られている。その彩度は、まるでレンブラント自身が意図的に自らを絵画の受けてから隠すように、またその影の部分からこちらを見つめるように設えられたとも見れる。
また、レンブラントは自らの乱れた髪を強調しようと、絵画用ブラシの柄の部分を用いてまだ乾く前の絵の具に擦れた表現を残している。この習作を残した頃のレンブラントはまだ弱冠22歳であったが、既に弟子を指導するほどの立場になっていた。
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