作品概要
《眠り》は、画家のギュスターヴ・クールベによって制作された作品。制作年は1866?年から1866年で、プティ・パレに所蔵されている。

来歴
《眠り》は、1866年に、絵画を収集していたトルコ人外交官、カリル・ベイの依頼によって描かれた。カリル・ベイはこの作品の他、《世界の起源》(1866)の注文者でもある。
《眠り》が1872年に展示会に出された際には、絵画販売者が警察から聴取を受けた記録も残っている。1988年にようやく一般公開が許された。
主題
この作品からは、後期のクールベ作品によく見られるようになった、官能的な現実主義への関心が見てとれる。
キューピッドを登場させることで作品に神話的な意味を持たせ、官能的なモチーフを正当化することが当然とされていた時代に、ありのままのエロティズムが描き出されたこの作品は、わいせつな作品として、大衆から悪評を得た。「神聖ではないもの」としてヌードを描いたことで、クールベの人格や芸術は議論を呼んだが、クールベ本人は挑発的な画家と揶揄されることを喜んだ。
1860年代のクールベ
クールベは1860年代から、エロティックなポーズをとる女性や女性器をモチーフにしたヌード画を好んで描くようになった。この作品にはレズビアンの女性が描かれている。
官能的なヌードを描く画家という悪名(クールベにとっては狩猟の腕に並ぶ自慢の種だった)は、かえってクールベを有名にし、絵もよく売れるようになった。
1860年代の裸婦をモチーフにしたクールベ作品には、女性の下半身だけを切り取って描いた《世界の起源》(1866)、裸に白い靴下と靴だけを身に着けた女性を描いた《白い靴下》(1861)、《入浴する女》(1868)などがある。
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