作品概要
《バルト海の漁船》は、画家のカスパー・ダーヴィト・フリードリヒによって制作された作品。制作年は1830?年から1835?年で、ティッセン=ボルネミッサ美術館に所蔵されている。

《バルト海の漁船》は、ドイツのロマン派の画家、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒによって、1830年頃から1835年頃にかけて制作された作品である。ティッセン=ボルネミッサ美術館に所蔵されている。
バルト海岸の風景
この作品は、何人かの漁師を乗せた、バルト海岸から離れる帆船を描いている。場所は、自然を見て描かれた画家のスケッチのいずれにも対応していないが、おそらくリューゲン島近くのポンメルン地域である。ポンメルンは、フリードリヒの風景画の多くで描かれた場所である。
夕暮れ時に設定されたこの場面は、鑑賞者に背を向けて船出を見ている男性たちを描いている。伝統的なドイツの衣装を着たこうした男性たちの存在は、海景の謎めいた雰囲気に貢献している。彼らの姿勢や船の近くにいることからは、彼らが漁師に何らかの手を貸したことが推測される。おそらく、岩場の海岸に座礁した後、船を戻すことを助けたのだろう。
光のコントラスト
構図は、船首の分割線による直角の配置、三角形、縦軸、空間を鋭く分けている海岸と地平線の境界線を有している。地平線上の光と海の表面は、画面の上半分を占める雲のカーテンの下の1/4の部分と、前景を満たす逆光のエリアを支配している。場面の焦点は、このエリアに光が集中する効果によって強調されている。
前景と後景との間の強い光のコントラストは、鑑賞者の距離の把握を妨げそうに思われるが、この困難さは、異なる量感や人物の整然とした分布によって相殺されている。
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