作品概要

悲劇の女神としてのシドンズ夫人》は、画家のジョシュア・レノルズによって制作された作品。制作年は?。

詳細な画像を見る

『詩学』のなかで、古代ギリシャ哲学者のアリストテレスはこう記している。「悲劇とは、非常に重要かつ完全で意味深い行動の擬態である。その言語は、明瞭で多様な美により高められており、説明的ではなく行為により表現され、同情と恐怖により感情を浄化させるものなのである。」

つまり、悲劇は芸術の最高形であり、同情と恐怖を伴うものだと、アリストテレスは示しているのだ。

悲劇の概念への到達

ジョシュア・レイノルズは、本作《悲劇の女神としてのシドンズ夫人》によって、この悲劇の概念に到達したとも言われている。彼は新旧両方の要素を融合させたが、それはギリシャ神話の神々の暗示を利用して自分の詩想を示したり、アリストテレスの悲劇の定義を用いてそのキャラクターの象徴性を表現したり、また対象物の個人的な逆境を擬態するというアリストテレスのアイデアを利用することで成立している。

モチーフ

本作では、新旧の要素の融合が多く見られる。第一に、作品の名前がギリシャ神話の悲劇のミューズであるメルポメネを彷彿とさせる。しかしレイノルズは、ナイフや悲劇の仮面のような伝統的なシンボルを使用せず、同情と恐怖の感情を二つの霊的な新しいキャラクター(同情のミューズと恐怖のミューズ)で擬人化し、サラ・シドンズの悲劇の化身を表現した。

レイノルズはまた、当時最も有名であった女優のマクベス夫人を連想させるようにナイフと聖杯を描いている。ナイフはマクベス夫人がダンカン王を殺害するのに使用した道具であり、聖杯は毒を連想させるからある。(マクベス夫人の死因は自殺である)

第二に、同情と恐怖のミューズを用いた悲劇の描写は、アリストテレスの哲学と二つの感情からなるアリストテレスの悲劇の定義を参照している。レイノルズは、三つの対象物であるシドンズ夫人、同情、恐怖を描くことで、古代ギリシャの悲劇に対する哲学的視点(つまりアリストテレス的視点)を具体化している。こうすることで、観る者が象徴的なキャラクターの背景に意味や哲学的視点を見つけるように意識したり芸術作品を確実に理解することができるように、作者は仕向けているのである。

第三に、レイノルズは理想的な悲劇を生み出すのに重要な要素として、模倣あるいは擬態をあげている。アリストテレスによれば、悲劇の作品で成功するには、観客が共感できるように、現実的な要素が必要だとしている。言いかえれば、観客が感情移入できるようにするには、現実を擬態することが重要だということができる。シドンズ夫人は、当時「悲劇の女王」と言われたが、それに言及しなくても実際五人の子を亡くし、結婚も破綻してしまった彼女を主役にすることで、そのリアリティを利用し、擬態という古くからあるアイデアを成立させたのである。

レイノルズは、ギリシャ神話やアリストテレスの悲劇の定義や《悲劇の女神としてのシドンズ夫人》で擬態を利用し、新旧の要素を融合させたことで巧みで印象的な成果を得た。古くからある創造的な神話と哲学的論理の思想を用いて、レイノルズは自身の独創的な「新方式」を生み出した。この新旧の融合で、鑑賞者とコミュニケーションをとることができるようになったのである。

「詩人や画家が、人々の心を動かす題材を創案しようとしたり創案できるはずだと思うことは、うぬぼれである。」(レイノルズ)

作品をもっと見る

基本情報・編集情報

  • 画家ジョシュア・レノルズ
  • 作品名悲劇の女神としてのシドンズ夫人
  • 英語名未記載
  • 分類絵画
  • 制作年不明 - 不明
  • 製作国不明
  • 所蔵不明
  • 種類不明
  • 高さ不明
  • 横幅不明
  • 投稿日
  • 編集者
  • 悲劇の女神としてのシドンズ夫人の感想を書き込む

    こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。