作品概要
《イメージの裏切り》は、画家のルネ・マグリットによって制作された作品。制作年は1928年から1929年で、ロサンゼルス・カウンティ美術館に所蔵されている。

本作はマグリットの最も著名な作品の1つであり、「これはパイプではない」の文言として知られている。パイプが描かれた作品にもかかわらず、オブジェクトの下に「Ceci n’est pas une pipe(これはパイプではない)」と書かれている。
これはパイプではない
本作は、哲学者ミシェル・フーコーにも大きな影響を与え、著書『これはパイプではない』の主題にもなっている。マグリット自身は、言語学者・哲学者のソシュールを学んでおり、そのシニフィアン・シニフィエ概念から「言葉とイメージ」の問題を考えるようになり、本作のような作品へと結実していった。
本作は、マグリットが30歳の時に描かれた作品で、「ここに描かれているのはパイプのイメージ(絵)であって、パイプそのものではない」という言語とイメージの関係が表されている。
言うまでもなく、人は「これはパイプではない」という文字列を見て、「これ」がパイプのことを指すと考える。しかし、その「これ(Ceci)」がパイプとして描かれた図像であるのか、文字列そのものであるかも特定されているわけではない。もちろん、パイプとして描かれた図像もパイプそのものではなく、その意味では「Ceci n’est pas une pipe(これはパイプではない)」は正しい説明が描写されているにすぎないとも言える。
こうした言葉がもたらすイメージと、その裏切りをモチーフにした作品は、マグリット作品でしばしば見られるが、本作はその最も有名な代表作であるといえる。
シュルレアリスム
マグリットはシュルレアリスムの系譜の中に数えられる画家ではあるが、単に非現実的な光景を描いただけでなく、言葉とイメージの問題を絵画作品に持ち込んだという意味で、大きな意味を持っている。彼らの作品は、サルバドール・ダリはもちろん、現代のポップアートに至るまで大きな影響を与えている。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。