作品概要

翻る聖旗》は、画家のジャン・レオン・ジェロームによって制作された作品。制作年は1876年から1876年で、ハギン美術館に所蔵されている。

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これは19世紀フランスの画家ジェロームが、トゥアレグ族の衣装を着た門番を描いた作品である。

リアルな想像画

聖堂の入口を守っているのは、トゥアレグ族の衣装を着た男性。トゥアレグ族とはサハラ砂漠に住むコーカソイド系(ヨーロッパ人種)のベルベル語を話す遊牧民である。掲げている緑色の聖旗にはコーランの一節らしき文字が見える。シルク地の旗は、朽ちかけて灰色味を帯びた茶色の石と、扉に掛けられた鮮やかな赤い布を照らして輝いている。また、その赤色は男性のチュニックの純粋な白色を強調している。ジェロームの作品にトゥアレグ族の衣装が登場するのはこの一枚だけだが、他の民族衣装をまとった門番の姿は数多い。

彼の他のオリエンタリズム絵画と同様に、この作品からは実際に目にした光景という印象を受ける。しかしながら、トゥアレグ族は都市定住型ではなく遊牧民であるため、ここに描かれたような状況で見かけることは、ほぼあり得なかったのである。また、当時、彼らの存在はヨーロッパではほとんど知られていなかった。おそらくジェロームは、1873年のアルジェリア旅行の際にトゥアレグの人々や衣装を目にしたことがあったものの、衣装の細かい部分を描く際には参考資料を用いたのだろう。

実物のように見せる技術

充分な情報がなかったにもかかわらず、その描写はほぼ正確である。彼らは母系社会であり、女性が肌を露わにするのに対し、成人男性は象徴として長いベールを身に着ける。チュニックも彼らの衣装に良く似ているが、だぶだぶのズボンやサンダルは省かれている。また、剣や、矢筒、右肩の上にわずかに見える弓で武装させることにより、男性の秘められた激しさを示唆している。

一方で、弓は典型的なトゥアレグ族の武器ではないうえ、最も一般的な武器のダガー(短剣)が省かれている。人物と設定の不一致や、衣装と武器の不正確さは、厳密な画家として知られていたにもかかわらず、彼のオリエント絵画の大部分がスタジオでの産物であったことを実証している。だが、絵画の技能については、誰も彼を非難することは出来なかった。慎重な観察者であれば、この黒いベールに覆われた鼻と唇を知覚できるほどに、彼の艶出しの技術は繊細である。また、黒く見えるこのベールには、非常に微妙な色の調節により複雑な襞(ひだ)の形が現れている。

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基本情報・編集情報

  • 画家ジャン・レオン・ジェローム
  • 作品名翻る聖旗
  • 英語名未記載
  • 分類絵画
  • 制作年1876年 - 1876年
  • 製作国フランス
  • 所蔵ハギン美術館 (アメリカ合衆国)
  • 種類油彩 カンヴァス
  • 高さ55.2cm
  • 横幅50.2cm
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