作品概要
《セーヌ、シャイヨ宮のプロジェクト》は、画家のラウル・デュフィによって制作された作品。制作年は1938年から1938年で、不明に所蔵されている。

デュフィはセーヌ川が流れる人工の港町ル・アーブルで生まれ育った。裕福な家庭ではなかったため、働きながらもパリ市立美術学校に通っていた。15歳当時の高校生だったデュフィは同じフランスの画家であるオトン・フリエスやジョルジュ・ブラックと出会い、生涯友人として交流していくこととなる。
フォービズムの中でも明るいスタイルを確立
3人はフォービズムの画家の中でも同じような表現手段を持っていた。しかし写実的な方法ではなく直接的に感覚へ訴える色彩を表現手段とすることに基づいて、それぞれ独自のスタイルを持っていた。デュフィの作品は陽気で透明感のある色彩と音楽が聞こえてきそうなリズミカルなタッチが特徴的である。多くの場合、音楽、バラ、馬、海をモチーフにした作品を残している。「色彩とは光である」という独自の理論のもと、作品に素晴らしい調和を生み出している。
プロジェクトの習作だった
1937年巨大壁画《電気の精》を万国博覧会に向けて制作したデュフィだが、その構想中に同じ万国博覧会で別のプロジェクトを引き受けることになった。それがフランスのパリにある大型展示場シャイヨ宮に新設される喫煙室兼バーの空間装飾の仕事だったのである。
《セーヌ、シャイヨ宮のプロジェクト》はこの仕事の習作として描かれた。右半分は木々の緑、そして左半分は空と雨の青で施されており全体をほとんど覆っている。少ない種類の色使いにも関わらず柔らかな筆さばきが作品に明るさをもたらしている。
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