作品概要
《トレ・クロチ―ドロミーティの風景》は、画家のオスカー・ココシュカによって制作された作品。制作年は1913年から1913年で、レオポルド美術館に所蔵されている。

アルマ・マーラーとの旅行で
1913年8月にオスカー・ココシュカとイタリア旅行に出かけた当時の恋人アルマ・マーラーは日記にこう記している。
「トレ・クロチに来たところで私たちの時間はすべて彼の仕事を中心に回るようになってしまった。真夏の太陽が氷河の真上に来た!今朝になって、自分はこの祝福を受けるに値する人間じゃないんだという思いを振り払うことができなくなった。ココシュカは仕事抜きにはやっていけない人なんだわ!彼はそのために生まれてきたの人なのだろうから。日常みたいなものはこれっぽちも彼の興味にはならない」
ドロミーティの風景とアルマ・マーラー
《トレ・クロチ―ドロミーティの風景画》には見るものをうっとりさせるような景色が描かれている。緑を基調にした配色、暗い色でごつごつとした輪郭線、そして神秘的なまでの特徴的な光の配置。それらすべてがこの風景画の印象を作り上げている。《トレ・クロチ―ドロミーティの風景画》はココシュカの全作品の中でももっとも印象的な絵の1つで、ドロミーティでの彼らの旅行を長く人々に伝えることとなった。
緑や青の飽和色をふんだんに影に使い、アクセントとして紫が添えられている。ココシュカはひんやりとした湿度の高いドロミーティの景色の印象を伝えようとしたことがわかる。「嵐の後」という題名は、不思議な光の加減や明るい緑の草地、小さな荷馬車の下を流れる水、そして降ったばかりの雨をたたえた草を食む馬をあまさず表している。
絵の中にアルマ・マーラーの姿は実際には描かれていないが、彼の中では存在しているのとほぼ問う意義だった妥あろう。1914年には《トレ・クロチ―ドロミーティの風景画》が《風の花嫁》へとつながることになる。《風の花嫁》ではドロミーティの景色と思しき風景の中でココシュカとアルマ・マーラーが風にゆられている。
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