作品概要
《レダ・アトミカ》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1949年から1949年で、ダリ美術館に所蔵されている。

この絵の主題は神話に白鳥とともに登場するスパルタの王女レダだとされおり、ダリの妻ガラをモデルに制作されたものである。「レダ・アトミカ」は、黄金比ともいわれる神授比例法にのっとり規律の整った数学的な構成の元に描かれている。
レダと白鳥は幾つかによるスケッチをもとに、五つの先端をもつ星形が正確に配置できる五角形の枠組みに入れられている。星形は、愛、規律、光(真実)、意志、言葉(実践)の五つの事象を表している。この構成の枠組みはルーマニアの数学者マティラ・ギカに勧められ、ダリ自身によって計算に基づいて描かれた。
数学的な考えは創造上のインスピレーションを妨げるものと多くの芸術家はとらえているが、ダリは正しい構成や計算を基礎に芸術を創り上げることが必要だと考えていたようだった。第二次大戦中、広島と長崎に落とされた原爆は、ダリに多大な影響を及ぼし、その後ダリの作風は新しい道をとるようになる。ダリは芸術が時を行くものであるべきなら、その時代に起こっている事象を作品に取り入れるべきだという姿勢を取り始める。
画面上の全て物体は空間で静止しているかのように表現され、それぞれは同じ空間に属しながら互いに切り離された存在である印象を見る者に与える。レダは白鳥の頭をあたかもなぜるかのように手を挙げているが、その二体には微妙なすれ違いが生じている。それは、ダリが物事の無関係性を皮肉的な見方として意識して表現しているからだとも言われている。現在、同作品はダリ美術館にて展示されている。
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