作品概要
《冬景色(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)》は、画家のカスパー・ダーヴィト・フリードリヒによって制作された作品。制作年は1811年から1811年で、ロンドン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。

松葉杖の人物
《冬景色(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)》は、国立シュヴェリーン美術館にある同タイトルの作品の対画である。
荒涼としたシュヴェリーン美術館の作品では、雪に覆われた平野の中に、松葉杖を持った人物の小さな姿が描かれている。伐採された木の切り株が遠くまで続いており、人物は枯れた樫の木の幹に囲まれている。しかし、このイメージの妥協のない荒廃は、ロンドン・ナショナル・ギャラリーにある本作によって覆されている。
ここでも同じ松葉杖の人物が描かれている。彼は巨石に背を向けて、若いモミの木々の前で十字架を見つめている。そして、自分の杖を投げ捨てている。このモチーフの組み合わせは、信仰の中のキリスト教徒の保護への言及として解釈されてきた。シュヴェリーン美術館にある作品に描かれた絶望は、本作で復活の希望に変わり、救いは十字架でのキリストの犠牲によって保証される。
雪の中のゴシック建築
本作には、フリードリヒ作品の中ではじめて、冬の空の暗い背景に対して立ち上がるゴシック様式の教会が描かれている。それは去来する幻影のように、霧の中から幻想的なビジョンとして現れる。教会の尖塔のシルエットは、モミの木を彷彿とさせる。
フリードリヒは、当時の彼の同郷人のように、「ドイツ特有」のゴシック様式の教会建築と、自然の森林の成長の類似を描いた。ここでのイメージは、彼の信仰心と同様、当時の愛国民主運動への彼の共感を反映している。
描写と効果
草が雪を突き抜け、空は夜明けの輝きを帯びている。この作品は驚くほど少ない色で描かれており、なめらかに変化する色調よりも、画家の色そのものへの関心が薄かったことを示している。彼は、油性絵の具の中でも透明な青の絵の具を使用し、筆で注意深く点描することにより、揺らめく透明なもやの顕著な効果を描き出すことに成功した。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。