作品概要
《キリスト》は、画家のオディロン・ルドンによって制作された作品。制作年は1887年から1887年で、国立西洋美術館に所蔵されている。

《キリスト》は、フランスの画家オディロン・ルドンによって1887年に制作された油彩画である。国立西洋美術館に所蔵されている。
黒の画家から色彩の画家へ
オディロン・ルドンは、象徴主義の画家の中で最も重要で独創的な画家であった。彼の先見的な作品は、主に夢、幻想、想像力の世界を描き出している。
ルドンはまず、「黒(ノワール)」の作品群で有名になった。黒の表現力と暗示力を引き出す単色の作品たちである。また、しばしば初期の素描に基づいて制作されたリトグラフは、特有のテーマや文学――特にエドガー・ポー、フローベール、マラルメなどのロマン主義と象徴派の作品――に基づいても作られ、そうした文学を探求する手段となった。
その後、ルドンはだんだんとよりカラフルな色調を採用し始め、色彩豊かな花などを描いた。ナビ派との出会いは彼をより装飾的な美学に導き、後期作品ではフラットで抽象的なパターンや装飾的効果への関心だけでなく、ジャポニズムをも取り入れた。
濃密な黒の絵画
この作品では、直線と曲線、短い線と長い線、線影やあやめ陰影を非常に効果的に使用している。ほとんどの線は見事であるが、中にはチョークで描かれたものや消された部分もあり、白い部分は暗い部分のハイライトとなっている。
背景は濃密な黒の領域となっており白い部分がないので、白い顔は光のように際立っている。この絵画には、奥行きの錯覚を効果的に作り出している三次元的な印象がある。
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