作品概要
《卵》は、画家のオディロン・ルドンによって制作された作品。制作年は1885年から1885年で、シカゴ美術館に所蔵されている。

想像力の画家
オディロン・ルドンは、象徴主義の画家の中で最も重要で独創的な画家であった。彼の先見的な作品は、主に夢、幻想、想像力の世界を描き出している。
ルドンは、ポール・ゴーギャンのような同時代の画家や、マルセル・デュシャンのような近代的な画家に大きな影響を与えた。彼のリトグラフやノワールは、当時の象徴派の作家に賞賛されたが、後のシュルレアリスト達は、科学的観察と想像力から生み出された、奇妙で幻想的な主題についても賞賛した。
悪夢のイメージ
恐ろしい表情をしてカップの中に動かないように入れられている「人間」の顔をした卵は、真の悪夢のイメージであり、深くて暗い、曖昧な無意識のビジョンである。それは、小児期に夢の中で見る巨大な超自然生物のように恐ろしい。
ルドンは「ノワール(黒)」にて、恐怖や幻想的、霊的な想像力を具現化した。ルドンは黒を「精神の代理人であり、最も本質的な色である」と書いている。
奇怪なモンスターたち
エヴァ・ディ・ステファノは、次のように書いている。「正確性と不確定性、慣れ親しみや超自然性をどのように組み合わせるかを知っているルドンの鉛筆の太い線は、時には恐ろしいモンスターや誘惑、岩や洞窟と混同した幻影、キュクロプス、殺人鬼、小鬼や堕天使、拘束された馬や人間のような花、星型の幼虫、原初の生物、空間に浮く体のない頭、惑星のようにさまよう眼球などの生物を、影の中から浮かび上がらせる」
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