作品概要
《オフィーリア》は、画家のオディロン・ルドンによって制作された作品。制作年は1900年から1905年で、個人に所蔵されている。

黒の画家から色彩の画家へ
オディロン・ルドンは、象徴主義の画家の中で最も重要で独創的な画家であった。彼の先見的な作品は、主に夢、幻想、想像力の世界を描き出している。
ルドンはまず、「黒(ノワール)」の作品群で有名になった。黒の表現力と暗示力を引き出す単色の作品たちである。また、しばしば初期の素描に基づいて制作されたリトグラフは、特有のテーマや文学――特にエドガー・ポー、フローベール、マラルメなどのロマン主義と象徴派の作品――に基づいても作られ、そうした文学を探求する手段となった。
その後、ルドンはだんだんとよりカラフルな色調を採用し始め、色彩豊かな花などを描くようになった。
夢のビジョン
シェイクスピアの演劇「ハムレット」の水死を遂げるヒロイン、オフィーリアのイメージは、ルドンによって、明るい色彩と揺らぐ体という美しい図像へ翻案された。横顔の女性の頭部は、金色の光輪に囲まれた2本の赤い花で照らされ、花、蝶、水仙、貝、水中生物の中で浮遊している。数千の色合いを持つパステルカラーの魅力が存分に発揮され、画家の夢と主観的なビジョンが描き出されている。
「ハムレット」に描かれているように、オフィーリアは「すばらしい花輪」に囲まれ、「危険に気づかないように、あるいは水に生まれ、水に育った生き物のように」「泥の死」へと導かれている。
オフィーリアを描いた他のルドン作品として、《花の中のオフィーリア》(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)がある。
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