作品概要
《オルフェウス》は、画家のオディロン・ルドンによって制作された作品。制作年は1903?年から1910?年で、クリーヴランド美術館に所蔵されている。

黒の画家から色彩の画家へ
オディロン・ルドンは、象徴主義の画家の中で最も重要で独創的な画家であった。彼の先見的な作品は、主に夢、幻想、想像力の世界を描き出している。
ルドンはまず、「黒(ノワール)」の作品群で有名になった。黒の表現力と暗示力を引き出す単色の作品たちである。また、しばしば初期の素描に基づいて制作されたリトグラフは、特有のテーマや文学――特にエドガー・ポー、フローベール、マラルメなどのロマン主義と象徴派の作品――に基づいても作られ、そうした文学を探求する手段となった。
その後、ルドンはだんだんとよりカラフルな色調を採用し始め、色彩豊かな花などの作品を描くようになった。
主題の物語
ギリシャ神話の登場人物、吟遊詩人のオルフェウスの頭部が、彼の竪琴の上に置かれている。
神話によると、ディオニュソスの怒りを買ったオルフェウスは、マイナス(狂乱の女)たちによって八つ裂きにされ、頭をヘブロス川に投げ込まれた。彼の頭と竪琴はレスボス島に流れ着くまで、妻エウリュディケーの喪失の痛みを歌い続けたという。彼の痛ましい死を偲んだゼウスは、竪琴を空に上げ、琴座とした。
同様の主題は、《オルフェウスの首を運ぶトラキアの娘》として、1865年にギュスターヴ・モローにより描かれている。ルドンはこの悲しい物語を、より神秘的、超現実的に描いている。彼の痛ましい死は、ピンク、紫、ターコイズブルーといった暖色により緩和されている。
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