作品概要
《死神と直面した仮面たち》は、画家のジェームズ・アンソールによって制作された作品。制作年は1888年から1888年で、ニューヨーク近代美術館に所蔵されている。

仮面の中で育ったアンソール
ジェームズ・アンソール後期の作品で、描かれているすべての人が薄気味悪い仮面をつけている絵だ。アンソールは海辺にある仮面と土産物を売る店で両親に育てられ、地元の仮装カーニバルにも一時期参加していた。それだけでなく、大人になって絵を制作するようになってもやはりそれは店の上の自室だった。
奇怪なベルギーの仮面たちに囲まれた日々は彼の芸術活動の根本を作り、かなり作品の広い範囲にまで影響を見ることができる。若いころに伝統的な静物画や陰影の濃い宗教画をそれなりに描いていたが世間から評価を受けることはなく、この時期によくある繊細さのためにひどく傷つき、自分に好意的な人など世の中にはいないのだと思い込むようになった。そして、自分がこうなりたいと思うものを描くようになった。
骸骨や道化師にのめり込んだ時代
《死神と直面した仮面》を制作していた1888年当時もまだアンソールは仮面の魅力を追究し、もっと奥深いものにしようともがいていた。しかしそのおかげで多くの絵画的なイメージを持つことになり、結果的に彼は有名な画家になることができたのだ。
そう考えるとこの作品にたくさんの仮面があるのも何も不思議ではないが、骸骨や道化師、空想的な衣装なども同じくらいの存在感を放っている。数年の間どんどんアンソールはこれらにたいする関心が強まる一方だったのだ。超現実的でぞっとするような種類の肖像画はアンソールの初期から1880年代までつづき、彼はとりつかれたようにこの種の絵を描き続けた。
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