作品概要

キリストのブリュッセル入り》は、画家のジェームズ・アンソールによって制作された作品。制作年は1889年から1889年で、J・ポール・ゲティ美術館に所蔵されている。

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伝統と非伝統

間違いなくアンソールのもっとも有名な作品だ。お祭り騒ぎになっている群衆がロバの上に腰を掛けているキリストに押し寄せている。画題としては伝統的なものだが、見せ方はまったく伝統的なものではない。

因習に従った題材でアンソールが描いた混乱に満ちた場面は、本当は彼が何を描こうとしたのかわれわれが安易に理解することを許さない。遠近法の消失点にあいまいさがある。前景にあるマスクをかぶっているかのような異様な顔の数々は鑑賞者には目の前にぬっと現れてくるように見える。

しかし後景まで下がると群衆の顔はVの字に並んだ色のついたぼやけた点になってしまう。それにもかかわらず、立体感をつくりだす現代的な手法によって相殺されている。アンソールは絵の中の圧力と緊張を高めるために、構図の面全体に人を水平に並べ、自分でつくった遠近法を打消したのだ。

画題の影でアンソールが本当に描いたもの

人々はいくらか前景にむかってやや傾いている感じもある。鑑賞者にむかって殺到してあっという間に飲み込んでしまおうとしているように見えるほどだ。群衆の人々はさまざまな角度から描かれており、体の輪郭はばらばらだ。彼らの立体感はまじりっけのない不飽和色を並列することで表現している。この原初的で実に単純な手法はゴーギャンが活用していたものにも類似している。アンソール自身は「私の色は純化されていて、全体でもあり一部でもある」と説明している。

ベルギー国王レオポルド2世は、ブリュッセルを王家の像やファサードが立ち並び、ジョルジュ・オスマンがパリに作ったような大通りが走る現代的な都市へと変貌させた。しかし1880年代後半にベルギーは悪名高いパリコミューンの時代と同じような政情に陥ってしまう。重苦しい経済と政治にあえぐ国の様子をアンソールは無秩序と混沌のうねりという姿に変えて描写したのだ。

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基本情報・編集情報

  • 画家ジェームズ・アンソール
  • 作品名キリストのブリュッセル入り
  • 英語名未記載
  • 分類絵画
  • 制作年1889年 - 1889年
  • 製作国ベルギー
  • 所蔵J・ポール・ゲティ美術館 (アメリカ)
  • 種類油絵
  • 高さ253cm
  • 横幅431cm
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