作品概要
《イヴァンチッチェでの聖書の印刷:連作スラヴ叙事詩より》は、画家のアルフォンス・ミュシャによって制作された作品。制作年は1914年から1914年で、ヴェレトゥルジュニー宮殿に所蔵されている。

《イヴァンチッチェでの聖書の印刷》はアルフォンス・ミュシャによって1910年から1928年の間に制作された壁画連作〈スラヴ叙事詩〉のうち第十五の場面にあたる作品である。この場面は1914年に制作された。
スラヴ叙事詩
ミュシャは、パリにで流行画家となりながらも、ハプスブルク家の支配下にあり、民族の自由を失っていた故国チェコのために貢献したいと望んでいた。彼は1900年ごろから〈スラヴ叙事詩〉の構想を始め、アメリカ人の富豪の資金援助を得て、それは18年の歳月をかけて20枚の壁画を完成させた。
しかし、壁画が完成した1928年には既にチェコは「チェコスロヴァキア」として独立を達成しており、ミュシャの様式も時代遅れなものとなっていた。
当初壁画はプラハ市に寄贈され、市が展示場所を確保する約束であった。しかしその約束は守られず、モラフスキー・クルムロフの町に移された。2012年にようやくプラハに帰還し、ヴェレトゥルジュニー宮殿に展示されている。
作品
1457年に創設されたボヘミア兄弟団は、当時発明されたばかりの印刷術でチェコ語に翻訳した聖書を大量に流通させた。それまではローマ教皇の教えによりラテン語の聖書しか許されず、教会の聖職者によってキリスト教の教義を教えられるだけであった。このチェコ語訳聖書によって民衆は自分で聖書を読むことができ、信仰の問題を自分自身で深く考えられるようになった。
画面の右には印刷されたチェコ語聖書を熱心に読む人々が、左には目の見えない老人のために聖書を読んでやる若者がいる。
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