作品概要
《目を閉じて》は、画家のオディロン・ルドンによって制作された作品。制作年は1890年から1890年で、オルセー美術館に所蔵されている。

閉じた目の象徴するもの
この絵は、目を閉じ、肩をむきだしにした、固いヘルメットのような黒髪の女性を描いている。彼女はまるで海から姿を現したように見える。閉じた目のモチーフは、謎、夢、瞑想、内面の生活を呼び起こす象徴としてルドンに訴えかけた。同時に、閉じた目は死を暗示することもできる。象徴主義者にとっては、現実世界からの究極の逃避と、意識的な生活の現実的な限界を表している。
色を取り入れ始めた作品
この作品は、ルドンのキャリアの転換期を示している。すなわち、ルドンが作品に初めて色を取り入れ始めた時期の作品なのである。ルドンは以前描いた同主題の木炭画に基づきこれを描いた。
本作の色調はまだわずかなものである。ルドンは、半透明の空気のような効果を出すために、油絵の具の薄塗りを使用した。一方で、淡い色調や構成は、ルネッサンス期の大理石の胸像を想起させる。
象徴派のアイコン
1904年にフランスの大手美術館に購入された最初のルドン作品でもある《目を閉じて》は、象徴主義者のアイコンとなっている。
モデルは、ルドンの妻カミーユである可能性が高い。しかしかなり中性的な容貌である。彼女は物質界からの分離という記号としての側面も持ち合わせている。「両性具有」は、精神領域との関連性と、その本質的にハイブリッドな性質(例えば、ダ・ヴィンチの描く福音記者ヨハネは、しばしば女性的な風貌で描かれている)のために、象徴派にとって非常に人気のあるテーマであった。
周囲の空間は無限の感覚を加えている。それにより作品の全体的な効果は、静かで落ち着いたものとなっている。
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