作品概要
《眼=気球》は、画家のオディロン・ルドンによって制作された作品。制作年は1882年から1882年で、ロサンゼルス・カウンティ美術館に所蔵されている。

気球が載せるもの
眼球は奇妙な風船に変容し、その視線は水平線の上に上がるにつれて天に向けられる。気球のカゴは乗客を乗せるのではなく、サロメが洗礼者ヨハネの首をそうしたように、皿の上に載せられた首を運んでいる。左下には、手のひらのような植物の葉が見え、空は厚い雲で覆われている。
解放に向かう眼
切断された頭部は、旧約聖書のサロメの物語であろうと、このようなより神秘的なイメージであろうと、象徴主義者の芸術や文学において頻繁に現れるものである。身体から分離された頭部または眼球は、日々の生活の制約から解放され、より高い意識面に到達するものの象徴として描かれている。学者であり美術館長でもあるジョディ・ハウプトマンは、以下のように書いている。
「”無限に向かって”浮かぶことは、身体と心の限界から自由になることである。ルドンの目は、現実や自然、目に見えるものを越えて、本当に見るために解放されているのである」
画集の中の一枚
この作品は、6枚のリトグラフから成る画集《エドガー・ポーに》の中の一枚であり、最も有名なものである。このリトグラフは、ポーの詩の挿絵としてではなく、むしろルドンの言葉を用いるための「通信文」としての意味を持っている。
このような喚起的なアプローチは、説明ではなく示唆が芸術の最高の目標であると信じていたマラルメや他の象徴主義者の詩を特徴づけた。同時に、このリトグラフの巨大な眼球は、ルイス・ブュヌエルのシュルレアリスム映画「アンダルシアの犬」の、スライスされる眼のクローズアップを予見したものとなっている。
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