作品概要
《最後の審判》は、画家のヒエロニムス・ボスによって制作された作品。制作年は1482年から1482年で、ウィーン美術アカデミー付属美術館に所蔵されている。

最後の審判とは、世界の終末に人間の生前の行いを神または神的存在が審判し、天国か地獄のどちらへ行くのか決められるという世界観のことである。本作《最後の審判》は、ボスの他の三連祭壇画に見られるように、人間の転落を描いている。
図像解説
開扉時左のパネルには、雲の中に座る神、昆虫として地上に落ちる天使、アダムとイブが描かれ、エデンの園の光景が広がっている。
中央パネルには、天使に囲まれたキリストが天上に配しているが、下を見ると怪物だらけの景色が広がっている。救われる者はほとんどいない。
開扉時右のパネルの荒廃した状態は地獄を表現している。世界は魔物であふれ、人々があらゆる手段で拷問されている。
《快楽の園》や《干し草車》と異なり、本作は天国と地獄しか描かれていない。魂が運命が決める前に行動を振り返る地点であるリンボ界(天国と地獄の中間にある場所)はないと考えられている。
外扉にはふたりの聖人が描かれている。左がヤコブ、右が聖人バヴォは、注文主のフィリップ美公をモデルにしている。聖人パヴォが貧しい人々に施しをしているが、これは贖罪につながる行為だと考えられる。
さまざまな解釈
例によって、本作も様々な解釈がある。異端的思想から影響を受けていると主張する者もいるし、純粋に見る者を喜ばせるために描かれたと見解を示す者もいる。また、中世の倫理観によって刻み込まれた伝統的な信仰の教えに忠実に描いていると解釈する者もいる。
同時代の古典主義の巨匠の作品と違って、ボスは聖書の物語と想像から着想を得て制作した。この方法は当時にとって革新的だった。
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