作品概要
《湾曲した入り江》は、画家のエルンスト・ルートヴィッヒ・キルヒナーによって制作された作品。制作年は1914?年から1914?年で、スペインに所蔵されている。

フェールマン島という楽園
1912年12月にフェールマン島から戻ってきたキルヒナーは、弁護士であり「ブリュッケ」の芸術家たちにとってのパトロンであったグスタフ・シーフラーに宛てて手紙を書いた。「オークル・ブルーとグリーンがフェールマン島の色です。南太平洋を思わせるような豊かな植生で、おかしなくらい茎がまるまるとした花もあります」
このバルト海に浮かぶ小さな島はキルヒナーお気に入りの場所で、大都市の喧騒から離れてひと夏じゅうのんびりと絵を描いてすごした。
《湾曲した入り江》はフェールマン島のなかにある特徴的な入り江の1つで海水浴をする人たちを描いた作品だ。どこか1909年と1910年の夏にモーリッツブルグ湖で作成した裸の女たちの絵を思い起こさせるが、それよりも輪郭が角ばった印象で色彩も豊かであることからそれより後の作品であることがわかる。
《湾曲した入り江》の人物や風景は、1913年にフェールマン島で描いた《フェールマン島の海岸》や《フェールマン島のキングサリと浜辺で水浴をする人たち》と非常によく似ている。大きな樹木が風景をつつみ込み、右側全体を覆っている。その一方で左側には浜辺で遊ぶ人の姿が俯瞰した視点で描かれている。
《湾曲した入り江》では風景そのものに熱量があり、凸状の水平線と非現実的なくらい大きな太陽がどちらも非自然主義的な色で塗られている。さらに著しくせり上がった海岸線と大小さまざまなジグザグの線によって砂丘がこの絵に緊張感をもたらしている。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。