作品概要
《黒い壺のある自画像》は、画家のエゴン・シーレによって制作された作品。制作年は1911年から1911年で、美術史美術館に所蔵されている。

多く描かれた自画像の一つ
この作品は、シーレが作成した100以上の自画像の中の一つである。それらの多くは画家の裸体を描いている。おそらく鏡を見て描かれたものだろうが、その体は歪められ、誇張されている。
この《黒い壺のある自画像》も例外ではない。シーレの顔は、やせ衰え、青白く、骨ばっている。目は暗く、深いくぼみの中で拡大されている。表情は読みとりにくい。はさみのように広げられた指は引き延ばされ、骨ばっている。
これらの表現は、鑑賞者の注意を引きつける。ポーズは、他の多くの絵画や自画像のように厄介で、保つのに苦労するものになっている。
実像との乖離
このように自分自身を描いたにもかかわらず、彼は他者に「ハンサム」であり「整っている」と言われていた。ときに自己顕示癖として描かれた膨大な量の自画像や裸体画にもかかわらず、シーレは「恥ずかしがり屋」であり「繊細」と言われていた。
描写、表現
いくつかの点では、この肖像画は珍しいといえる。他の絵画よりも少ない線、より多くの色を使用している。シーレは線画のマスターと言われ、しばしば線で動きやムードを作り出した。この作品のシーレはより豊かでより色彩に富んだものとなっている。他の多くの肖像画は、シンプルで直線的な技法で描かれている。
シーレはグスタフ・クリムトと表現主義の影響を受けていた。この自画像では、表現主義に典型的な色の使用、誇張されたジェスチャーと歪みの使用が見られる。そうした表現は、感情的な反応と主観性を描写するために使用された。
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