作品概要
《荒野の洗礼者聖ヨハネ》は、画家のヒエロニムス・ボスによって制作された作品。制作年は1489年から1489年で、ラサロ・ガルディアーノ美術館に所蔵されている。

《荒野の洗礼者聖ヨハネ》は、後期ゴシックを代表する画家ヒエロニムス・ボス(1450-1516)が1489年頃に制作した油彩画である。
洗礼者聖ヨハネと子羊
洗礼者聖ヨハネは、『新約聖書』に登場する古代ユダヤの宗教家、預言者である。彼はしばしば子羊とともに描かれている。子羊は人間の悪意による無垢な犠牲として、聖なる生贄として扱われている。また、ヨハネによる福音書の第1章26節~36節では、ヨハネがキリストの到来に気づき、「見よ、世の中の罪を取り除く神の子羊よ」と語りかけている。従来の聖ヨハネ像と違い、ボスは独自の発想を生かし、異様な荒野のなかに彼を配している。
X線調査によると、本作にはもともと寄進者が描かれていることがわかった。しかし、ボス自身の手によって、現在はザクロのような奇怪な植物に描き直されている。
対作品
《荒野の洗礼者聖ヨハネ》は、ベルリン国立美術館に収蔵している《パトモス島の福音記者聖ヨハネ》と対作品だと見なされている。《パトモス島の福音記者聖ヨハネ》のヨハネが神の啓示を受け、『黙示録』を記しているのに対し、こちらのヨハネは荒野で頬杖をついて瞑想の真っただ中だ。
1940年代にこの2点がスヘルトーヘンボスのシント・ヤヌス聖堂内の祭壇画の一部を構成していた可能性が浮上した。ボスの所属していた聖母マリア兄弟会の礼拝堂の祭壇の一部だったというのだ。ボスの作品はいつ頃の作か断定するのは難しいが、この仮定が正しいとすると、1489年頃だと推測される。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。