作品概要
《肌色と黒のアレンジメント:テオドール・デュレの肖像》は、画家のジェームズ・マクニール・ホイッスラーによって制作された作品。制作年は1883年から1883年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

印象派の支持者
テオドール・デュレはフランス人ジャーナリスト、文筆家、美術評論家。クールベやマネなど印象派の画家を最初期から支持していた人物の1人で、印象派を支持する著作『前衛批評』などが有名である。美術収集家でもあり、印象派の絵画を多数所有していた。また、東洋に興味を持ち、日本や中国、インドなどを旅している。日本では浮世絵を購入し、歌川広重の作品で有名な東海道を歩いた。フランスでのジャポニスム流行の火付け役となったとされる。
ホイッスラーはマネを通じてデュレと知り合った。この肖像画ではデュレの希望で正礼装の彼を描いているが、装飾を加えるためにピンクの仮面舞踏会用マントと扇を手に持たせている。1885年にパリのサロンで展示され、これまでのデュレの肖像画の中で最高傑作だと評された。右側中央には、ホイッスラーのイニシャルであるJWを図案化した蝶のサインが描き込まれている。
作者について
ジェームズ・マクニール・ホイッスラーはアメリカ出身で、主にロンドンを拠点に活動した画家。テオフィル・ゴーティエやシャルル・ボードレールによる「芸術のための芸術」理論の支持者で、自身の絵画は教訓的、道徳的あるいは実用的な機能から切り離されたものだとした。そのため、主題についての具体的な説明は不要だとして、色や音楽用語を用いた抽象的なタイトルを自らの作品につけることを好んだ。日本美術の愛好家でもあり、モデルの女性に着物を着せたり、浮世絵に影響された色使いや構図の作品も多い。
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