作品概要
《白のシンフォニーNo.2》は、画家のジェームズ・マクニール・ホイッスラーによって制作された作品。制作年は1864年から1865年で、テート・ギャラリーに所蔵されている。

自らの思想を表現
ホイッスラーの恋人ジョアンナ・ヒファーナンをモデルに描いた作品。彼女はタイトル通り白のドレスを着て、物憂げに暖炉にもたれかかっている。暖炉の上の壺と手に持ったうちわに当時流行したジャポニスムの影響がみられる。この絵は元々《白い服の少女》と呼ばれていたが、後にホイッスラーは自身の思想に従い《白のシンフォニーNo.2》と呼ぶようになった。抽象的なタイトルにすることによって余計な情報を取り去り、キャンバスに描かれているものだけを見てほしいとの考えであった。
この絵が1865年にロンドンのロイヤル・アカデミーの展覧会で発表された時、ホイッスラーの友人で詩人のアルジャーノン・チャールズ・スウィンバーンによる詩「鏡の前で」が金色の紙に書かれてフレームに添えられた。この詩は絵画を基に作られたものであり、ホイッスラーはこれによって、絵画は文学作品を基に作られるものだという通念を覆そうとした。
愛人から妻へ
モデルのジョアンナは遅くとも1861年ごろからホイッスラーの絵画モデルを務めており、後に彼の恋人となった。彼女はホイッスラーの私生活でかなりの影響力を持っていたと言われている。2人は結婚しなかったが、この絵の彼女は左手の薬指に指輪をつけている。
ホイッスラーがジョアンナをモデルに描いた作品を順を追って見ていくと、彼女との関係の変化を知ることができる。1860-1864年の《ワッピング》では彼女は売春婦の役を務めたが、本作品の前作《白のシンフォニーNo.1(1862)》では指輪をつけていない恋人として描かれ、そして本作では妻へと昇格していることがわかる。
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