作品概要
《真珠色と銀色:アンダルシアの女》は、画家のジェームズ・マクニール・ホイッスラーによって制作された作品。制作年は1888年から1900年で、ワシントン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。

画家の義妹
こちらに背を向けて立つ女性の全身像を描いた作品。モデルはホイッスラーの秘書で義妹のエセル・ウィブリーである。タイトルの《アンダルシアの女》は、彼女が着ているグレーのイブニングドレスに由来する。ベル・エポック様式のドレスだが、袖の部分がスペインのアンダルシア地方の伝統衣装に似ていることからこう名付けられた。
エセルは彫刻家のジョン・バーニー・フィリップの娘で、この肖像画の製作が開始された1888年に姉のビアトリスがホイッスラーと結婚した。エセルは1893年から約1年間ホイッスラーの秘書を務め、1896年には、ホイッスラーがパリで所有していた家の庭でチャールズ・ウィブリーと結婚式を挙げている。なお、その後は妹のロザリンドがホイッスラーの秘書となり、彼の死に際して遺言執行人となった。
エセルがモデルとなった絵としては、この作品の他に水彩画の《バラ色と銀色:ウィブリー夫人の肖像》などがあり、スケッチやエッチングも残されている。
作者について
ジェームズ・マクニール・ホイッスラーは1834年にアメリカで生まれた。画家を志して1855年にパリに渡って以来アメリカに戻ることはなく、画家人生の大半をロンドンで過ごした。連作《ノクターン》などの、色彩のハーモニーを重視した抽象的な風景画で知られるほか、本作品のような肖像画も多く残している。浮世絵などの日本美術を愛好し、モデルに着物を着せたり、日本の落款に着想を得た蝶のマークをサインとして用いたりした。1903年にロンドンで没した。
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